日本における都市再開発事業の最近の動向 石田和之(徳島大学大学院教授) この報告では、都市開発に関連する日本の制度を紹介し、近年の日本における都市計画行政の変化や資金調達手段の多様化の動向を説明する。 従来の国土総合開発法(1950年)に基づく全国総合開発計画においては、「開発重視」の理念の下、「国土の均衡ある発展」の実現が基本課題とされてきた。しかしながら、開発重視という理念は、副作用として「開発に伴う地価高騰、乱開発による土地利用の混乱」等を発生させた。これらの副作用へ対処するための方策としては、国土利用計画法に基づく国土利用計画(全国計画)が利用されてきた。このような全総計画と国土利用計画との並立体制によって、国土の均衡ある発展はある程度は実現されたといってよいかもしれない。しかしながら、土地利用の調整や地価のコントロールについては、失敗としたといえる。高度経済成長の終焉とともに地価の急激な上昇は解消されたが、1980年代後半には再び加熱した土地投機と急激な地価の上昇を経験した。 この反省に立ち、1989年には土地の基本理念を定めた土地基本法が制定された。土地基本法の制定とともに、国土利用計画法は土地基本法の掲げた基本理念を実現する役割を担うという位置づけが新たに与えられた。また、土地の基本理念は、所有から利用へと転換された。 2005年には、国土総合開発法が国土形成計画法へと改められると同時に、国土利用計画(全国計画)と国土形成計画(全国計画)の一体化が図られた。ここに至って、並立体制で進められてきた国土計画が改められ、土地利用も含めて土地政策と一体的な国土計画という体系が整ったことになる。 新しい国土計画制度の意義は、国土の形成と一体的な土地政策の実践にある。今後は、「多様な広域ブロックが自立的に発展する国土を構築するとともに、美しく、暮らしやすい国土の形成を図る」ことと一体的に土地政策が構築されるとともに、土地政策の基本理念を土地基本法が支えることになる。 このような国土利用に関する政策体系の変更と合わせて、近年では開発の担い手あるいは開発に要する資金源として民間部門が積極的に関わる場面が増加している。 近年の、そしてこれからの日本における都市開発の傾向は、土地の有効利用という理念を念頭に置きつつ、民間部門と公共部門とが一体となって開発を行うという仕組みで進展することと考えられる。 日本都市再开发事业的最近动向 (徳島大学大学院教授) 本报告中主要介绍日本有关都市开发的制度,并说明近年来日本都市规划行政的变化和资金配置手段的多样化。基于以往的国土综合开发法(1950年)的全国综合开发计划 在"重视开发"的理念之下,以实现"国土均衡发展"作为基本课题。但重视开发的理念也导致了"伴随着开发的进程出现了低价高涨,由于乱开发而出现了土地利用混乱"等副作用。 2005年国土综合开发法改为国土形成计划法,从此企图使国土利用计划(全国计划)和国土形成计划(全国计划)一体化结束了以往的两种计划并立体制。 都市における歴史遺産の役割 山 泰幸(関西学院大学教授) 都市とは、本来、共通の価値や規範を持たない異質な者たちが、一定の空間に居住するという、一種の「奇跡」によって成り立っている。この「奇跡」を可能にするためには、都市に暮らす人々に同一性を与えなければならない。人類は、そのための深い知恵を生み出してきた。その代表的な社会装置が、巨大な建造物や記念碑などの「シンボル」である。これらのシンボルは、都市に暮らす人々に一体感を生み出し、人々に心の拠り所、精神的な安定を与えてきた。特に、中心的なシンボルは、都市空間の全体に統一的な意味を与える。これによって、人々は「人」として、都市空間に「住む」ことが可能になる。 現在、全世界的に保存が進められている歴史遺産は、そのようなシンボルの代表的なものである。それらが保存される理由は、歴史学的な価値や芸術的価値が認められているからであるが、さらに社会学的にも非常に重要な価値がある。特に、都市における歴史遺産の保存は、都市空間が統一的な意味を備えた、一つの社会秩序として成立するために小さくはない役割を果たしているからである。 都市の発展は、光だけでなく、紛争や犯罪などの影の部分が必ず伴っているのは、歴史が示す通りである。都市における歴史遺産の保存は、都市に暮らす人々に一体感と精神的な安定を与え、よりよい社会空間を築いていくうえで、大きな役割が期待出来るのである。 都市历史遗产的作用 山 泰幸(日本关西学院大学教授) 都市是本来没有共同价值和规范的异质人群居住在一定的空间而"奇迹"般地形成的。为了把这种"奇迹"成为可能必须要给生活在都市里的人群赋予同一性。人类为此孕育了深厚的智慧。其代表性的社会装置就是建筑物和纪念碑等"象征物"。那些象征物使生活在都市里的人群形成一体感,成为人们的精神家园。尤其,成为中心的象征物为作为整体的都市空间赋予统一性意义。由此人们才可能作为"人"而"居住"在都市空间。现在世界范围内被保存的历史遗产就是这样的成为中心的象征物。都市的历史遗产给生活在都市里的人群赋予一体感和精神上的安定感,为构筑美好的社会空间将会发挥更大的作用。 |